5. IT業界の分類:会社の形態(立ち位置、系列)、業態による見方

会社がやってることに基づくのでなく、会社の立ち位置、系列、で見た場合の分類です。

①ハードウェア、メーカー系

IBM日立NEC富士通といったコンピュータメーカーや、ハードウェア製造会社なんかの系列。
ハードはもちろん、組み込み系やネットワーク系のソフトウェアを作れる技術者もたくさんいますし、業務システムアプリケーションもやります。

②コンサルタント、シンクタンク系

所謂「~~総研」系とか、コンサル系(有名なのはアクセンチュアとか、)の会社は自分たちではあんまり開発作業はやらず、上位部分をやってあとは下請け開発会社に、というイメージが強いです。

③ユーザー系

銀行や証券、保険の系列会社。「~~銀行システムズ」「~~運輸システム開発」「~~ソリューションズ」とか、系列の名称がつくシステム会社ですね。
その系列のシステム開発を中心に担当する場合と、系列だけでなく広くいろんな企業からシステム開発を受注する企業がありますね。

④企業の情報システム部門が独立した状態

③と明確に分類できないケースはありますが、以前は企業の一部門として情報システム部があることが多かったが、分社化とかいろんな戦略的事情でシステム部門が会社として経営的にも独立し、グループ企業のシステムだけでなく、その業界のノウハウを活かして開発を受注しているものがあります。

⑤独立系SIer・ソフトウェアハウス

文字どおり、系列とは関係なく独立した経営基盤の会社。いろんなシステム開発を担う。
系列とは関係ないので、営業力技術力があればいろんな業種や会社の開発を請け負うことができる。
エンタープライズ系でも通信でも組み込みでもWEB系でも、会社が技術やサービスのノウハウを持っていれば取り組むことが可能。

⑥人材派遣・マンパワーリース・SESを専門にしている会社

会社としての組織形態をとってはいるが、実際には、自社の従業員、提携した個人事業主(フリーランスとも言われるが実際には下請けがほとんど)、提携会社の従業員などを開発現場に派遣して、ひとり月いくらの売上を得ている。
リクルートスタッフィングやModisのようなでかい派遣会社から、従業員10人ほどのSES会社までさまざま。
別の項で説明する多重下請け構造のなか、多分、感覚的には日本の「所謂"IT企業"」の9割以上がこの会社形態ではないか。

⑦独自サービス展開してる会社

小規模でも独立して独自サービスを展開している会社がいくらかあります。
例えば、
歯科医院や美容室、飲食店、福祉、士業など特定の業種の業務に特化したパッケージシステムを作ってる会社、
中小企業専門のIT困りごと解決会社、
PMOや第三者検証を専門にする会社、
WEBサイト構築、WEBマーケティングを専門にする会社
などなどなど、があります。

独立系の会社もあるが、大手のグループ企業として福祉施設のシステム専門、なんて会社もある。
システムとはちょっと分野が違うかもしれませんが、WEBサイト構築専門の会社なんかは数多あり、地域に根差しているものもある。

⑧請負形態による分類
・一括請負できる会社

「プライム」などと言われている企業。システムを作って使いたいユーザー企業から直接受注し、リリースまで一括して請け負える会社。(後述の「1(7)IT業界の構造」参照。1次請けが可能な会社)

・下請け(2次請け以下)専門の会社

「プライム」からの発注を受けて開発する会社。従業員数千人規模の会社でも、結構2次請け以下は多いのです。

・系列会社の仕事が主な会社

系列、グループ会社からの発注を受けて開発する会社。グループ企業からの安定した受注があるのを売りにしたりすることが多い。