2.「プログラミング」という言葉がよく流通しているが

もうひとつ余計なお話を。

昨今の日本では、やたらと「プログラミング」という言葉も流通しておりまする。
将来のIT人材育成だの創造力育成だの論理的思考力をもつ人材育成だの、といった目的で小学校の授業にプログラミングが取り入れられたり、子供や社会人向けのプログラミング教室ができたりと、行政はもちろん一部の民間もこれに加担しているようです。
とくにマスメディアの情報を見ていると、なんだかプログラミングさえできたら、そしてプログラミング人材が増えたら、日本のITが進歩するような言い方にも聞こえます。

なんじゃそれ、という感じです。
論理的思考力を鍛えるなら、プログラミングよりさきにまず基礎としてネイティブ言語の能力や数学をちゃんとやったほうがいいし、問題解決能力を育成するのも通常の授業や業務の中で考える癖をつけることは可能だし、必要です。従来日本の教育は思考力や創造力を育てるようになってないのに、単にプログラミングを取り入れれば論理思考力がつくとか創造力がつくようになる、なんて考えるのは順番が逆だし馬鹿げています。
つまりたいがいは「やってるフリ」に近い施策で、まったく本質的ではないのですが。

それから、日本の「所謂"IT業界"」における「プログラミング」「コーディング」というのは下位工程の作業であり、下位工程だけに報酬も安い、というのが実態です。プログラミングだけできても駄目なんですわ。

あるECサービス会社の面接で、面接官だったその会社の社長と話をしている中で「月200万というプログラマーを紹介されたこともあるんですが、実際どうなんですか?」、と逆質問されたこともありますが、おそらくこういう人は、クライアントとの折衝から始まって設計や環境づくり、プログラミングをして試験してリリースまで一人で請け負える(一人で作業する、と言う意味ではないです)、というような稀な人なんだと思われます。

また、システム開発を一人ですべてやって完結させる、なんていう仕事は非常に稀で、実際には複数人で開発することがほとんど。ゆえに作業管理能力も必要だし、システムの利用者に対しての説明能力やコミュニケーション能力も必要になります。
例えば中小企業の小さなシステムを一人で構築する、というようなレベルなら、一人で全行程こなして数百万というのはあるかもしれません。
けれど実際の企業関連の開発現場では、非常にたくさんの会社やいろんな役割の人が動いている。こういう現場を統括するマネージャーレベルでも月200万というのは大変高額。
とまれ、少なくとも、プログラミングができるからといて即高額とれる、ということはまずありえないので、メディアの記事やそういう触れ込みの求人があったら要注意です。