以前に鶏爪鴛鴦鉞を作りましたが、今回は程派高氏八卦掌で使われる子午鴛鴦鉞で、これ通常の子午鴛鴦鉞とちょっと違った形をしています(高氏八卦掌は私よく存じないのですが)。
早速作り方です。
(1)設計
鉞は形状が独特で、これを木材で作るとするとどのようにするのが最善か、かなり呻吟しました。
木材で作る目的は、
・公園とか外で練習できる(金属を振り回していると通報されかねないし)
・ほかの武器(たとえば槍など)と、軽く合わせた練習をする。
(相手の武器を傷つけない)
というわけで、ある程度丈夫にする必要があります。金属の鉞はそれなりの重さもあります。ですので、できれば重い木材が良い。重さなら八卦刀を作ったイぺが最強ですが、幅広のイペは手に入らない。
ある程度の強度と重さがあって、集成材や幅接ぎではない幅広の一枚板の材料を探すのに一苦労。いろいろ検討した結果、材はホワイトアッシュにしました。
「木材博物館」というサイトによると、ホワイトアッシュは、
「日本のプロ野球のバットの材料としてよく利用されている。
ヤチダモと似ていますが、ヤチダモ以上に粘りがあり、強度が高いという特徴があります。」
とのことなので、これは具合よいだろうと。
材料は18mmの厚みの板を使い、刃の部分は日本の木刀のような具合に仕立てることにしました。
(2)作り方
・切り出し
ジグソーで、慎重に切り抜きます。ほんとは電動糸鋸がいいんですが、マンションの一室で電動糸鋸なんぞ置けないので、ジグソーで丁寧に。
・持ち手部分は、ドリルで6mmの穴をあけ、そこにジグソーの刃を入れてくり抜く。
切り出した状態はこんな感じ。
・削り・整形
刀もそうですが、ここからが地道で大変な作業。
切り出しナイフやノミを使って、手作業で削り整形します。
実際の鉞は、刃の部分の中央が山形になっています。これに似せつつ、厚みを残します。今回は、断面が横長の八角形になるよう角を落としていきました。
バットや木刀の材料といえば白樫、赤樫もありますが、ホワイトアッシュ材はその質感や木目が、樫の木にも似ています。ヤチダモは白蝋の仲間でもあるそうですが、ホワイトアッシュは白蝋とはかなり違う感じです。白蝋の粘りは独特です。タモは私触ったことがないのでちょっとわかりませんが、友人によると、アイヌが簗を作ったり柱にしたり、船を作ったりするそうな。なるほど。なるほど。木材はいろいろです。触ったり削ってみるとわかります。
・仕上げ、完成
80番と棒やすり、最後はいきなりとんで400番のサンディングペーパーで仕上げ。
その後、木工用蜜蝋を2回あてます。木材そのものはその名の通りきれいな白ですが、蜜蝋をあてるとほんのり飴色に。