罷(しくま)の手刺繍ブローチ

罷(しくま)、音は「ヒ」、つまり、ヒグマのことのようです。図柄はオリジナルではなく、和漢三才図会のモノクロの絵をもとに刺繍にしています。

『和漢三才図会6』(寺島良安 編・東洋文庫)の、「巻第三十八 獣類」の「罷(しくま)」の項にはこうあります。

「罷(しくま)  人熊 馬熊[和名は之久万]
[思うに白熊の略称である]

『本草綱目』(獣部、獣類、熊[付録])に次のようにいう。
罷は熊に似ていて大きく、色は黄白。頭は長く脚は高い。猛だけしく力強く、よく樹木を引き抜く。虎も罷を畏れる。人と遭遇すれば人と同じように立ち、人をつかむ。それで俗に人熊という、と。
そもそも熊も罷も壮毅の動物で陽に属する。それで書物にも二心のない忠臣をこれに譬えている。」

 

和漢三才図会には罷と別に熊の項目がありまして、こちらは黒い熊。
「思うに白熊の略称である」とあるも、記述内容からすると白熊でもないようで、黄白のヒグマもいないですから、いったいどのようなクマを記録していたのか。
謎です。