∥ARTIST: 大工 哲弘
∥ALBUM TITLE: OKINAWA JINTA
詳しくは書かないけれど沖縄に関してはもういろんな問題が相変わらずなにも進展していない状態で、沖縄は八重山民謡の歌い手である大工哲弘がこのアルバムで「沖縄を返せ」と歌ったのにもいろいろな意味があるように思います。当時大工さんは那覇市役所に勤めながら音楽活動をしていました(今もかな?)。
「沖縄を返せ」はもともと本土の人が作った歌ですが、それを沖縄人があらためて歌うことで、「沖縄を沖縄人に返せ」という意味をこめてこの歌を歌ったわけです。
この歌は、このアルバムの製作に参加している梅津和時や大熊亘によって、このようなマーチ風ににアレンジされてます。ここには、沖縄の人々の感情や本土との歴史的関係に起因する、この歌のもつ複雑な背景を感じさせない、まったく別の歌に仕上げようとした意図が感じられます。
そのほか、マクラム道路の建設に寄与したマクラム中佐を皮肉った「マクラム道路」や、沖縄民謡では有名な「安里屋ユンタ」、「東京節」など、現代的な内容から伝統的な沖縄民謡までひととおりそろっていて、あまり「民謡」というものにとらわれずに聴けるアルバムです。もっとも、よくある「沖縄民謡紹介アルバム」のようなニュアンスで作られた音ではないですが。
(文中敬称略)