マラッカと、ピナン島はジョージタウンの二つの街は世界遺産に指定されており、世界遺産に指定された街並には古いショップハウス形式の建物を利用した、じつにいろいろな営みがあります。
ショップハウスの形自体は別に世界遺産の場所でなくても、クアラルンプールのチャイナタウンやシンガポールなどにもたくさんあります。ただ、マラッカ、ジョージタウンのそれは特徴的で歴史的にも貴重なものもあり、歩きながら見ていて面白いものです。
1.ショップハウスのかたち
間口は5~8メートルくらいでしょうか。建物の特徴は、間口が狭いけれど奥に長ーく続いているということです。長いものでは50メートルくらい続いているものもあるそうです。そして日本の長屋のように、複数の住居が連なっています。各戸の間には柱があり、その柱と柱の間隔が、おおよそ4、5メートルからあるというわけです。
←歴史遺産になるような伝統的なショップハウスはこんな感じです。(George Town World Heritage Incorporated (GTWHI) というところが作ったらしきリーフレットより。
[GTWHI] http://www.gtwhi.com.my/)
<<屋根>>
奥に長い建物ですが、それを横から見ると屋根は波打っているように見えます。入り口寄り前方に三角屋根があり、明り取りにもなる中庭(吹き抜け)を挟んでまた三角屋根。ほとんどは赤い屋根です。仕切り壁で隔てられた、こうした建物が何軒も連なっているので、上から見ると赤い波のように見えます。また屋根の上には龍などの意匠の置物があったりします。
<<横から見ると・・・>>
真横から見ると、三角屋根の部分がフタコブラクダのイメージですね。基本的に側面は隣の建物とくっついているわけなので、窓がありません。通りに面する建物は窓をつけているところもあります。これがお店なら、写真のように絵を描いたり窓枠を飾ったりします。たまたま隣の建物がなくなって切り取られたようになっていものを見ると、側面の形がよくわかります。
<<軒下を歩く>>
正面の入り口前にたつとなんだか軒下のような雰囲気です。ジョージタウンもマラッカもショップハウスの通りには「歩道」というのがありません(ほかの道路もほとんどは無いんですが)。だから車道の脇を車やバイクや側溝に気を付けながら歩くか、連なるショップハウスの軒下を歩いていきます。でも軒下部分は元来その家の敷地なわけで、バイク修理の店ならそこにバイクや工具が置いてあったり、インド食材屋なら香辛料のカゴが置いてあったりして通れないので、そうするといったん車道側に出て歩くことになり、とにかくまっすぐ歩けません。地元の人はほとんど車道の脇を歩いていますが。
マラッカではこの軒下部分の床を綺麗なテラコッタタイルで飾っている建物もあります。
中国系住人の家やお店では柱に先祖などを祀る小さな壇が付いていて線香が焚かれていたりします。