小さいころは近所にも空き地がちらほらあって、そこでよく遊んだものでした。セイタカアワダチソウが生え、人間が歩くと、その足元で驚いたバッタが飛び上がり、蝶が舞うような空き地でした。
東京は土の地面が見えないほど建物が密集しています。ぎっしりと隙間なく生えた毛のようでもあり、粘土の上に高さの違う積み木を次々に植え込んでいったような感じもします。
建て替えや取り壊しでいっときそこに隙間ができると、なんだか歯が抜けたあとのようにも思えます。身の一粒を抜いたトウモロコシのようでもあります。
歩いているとすっぽ抜けた都会の歯の跡が気になってしまいます。