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投票率が低いのはどういうことか(復習です) ― 実際の投票数等を見てみると? ―

2014-05-01

「やはり投票には行くべきでしょう。~その4~ しつこいけど。。。」から続けて、改めて書くことでもないのですが、投票率が低いのはどういうことかということを、覚書程度に書いておきます。

結論から言えば、低投票率は一部の人たち(官僚はじめ特定の利益団体に属する人たちですね)を利するだけです。
投票する人みんなが意識が高い人たち、というわけではありません。
特定利益団体に絡んでる人たちは、自分たちの利益のために投票している、という側面があります。

その結果、政策はこれら特定利益団体のための政策になるので一般市民には関係ない、あるいは害になるものになってしまうわけです。アベノミクスにしろTPPにしろ集団的自衛権にしろ、その本質は日本国民全体の利益とは関係ないですしね。


例えば、2014年2月9日の東京都知事選はこんな感じです。
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投票率は46.14%。
有権者総数=10,685,343に対し、投票総数=4,930,098というわけです(うち、無効票が61,000あります)。

当選した舛添要一氏の得票数は2,112,979。
これは有効投票数に対しては43.40%ですが、有権者全体に対しては19.77%でしかありません。

舛添要一氏は自民・公明の支持を得ているので彼の得票の多くはこれらの政党に絡む票です。
大手マスコミの調査だと、自民・公明の支持率は両方合わせても39.6%くらい(2014年2月)。
支持率がこの調査どおりだと仮定して(これも怪しいもんですが)、東京都の有権者数に当てはめると4,231,396人が自民・公明の支持者数と推定されます。
そのうち投票に行ったのが、1,928,163人くらいだと思われ、この全員が舛添要一氏に投票したとすれば、彼の得票数の91.25%にあたります。
実際には、自民・公明支持者のどれくらいが投票に行き、舛添要一氏を支持したのか精確に知るすべはありませんが、まあほとんどは組織の指示どおりの票でしょう。
だから、1,928,163人くらいの自民・公明支持者の票のみで知事が決まったと考えられます(ちょっと単純ですが)。
しかしてこんな状況で我々は、舛添要一氏が自民・公明支持者以外の大多数も鑑みた真っ当な政策を行うと確信できるでしょうか??

(データは、東京都知事選挙投開票速報(H26) より)

ちなみに次点の宇都宮健児氏は社民・共産の支持を得ていますが、その政党支持率は両方合わせても4.4%くらい。
投票総数に当てはめると216,924票。このすべてが宇都宮健児氏の得票だとしても、彼の得票総数982,594の約22%。残りは多様な人々の投票と思われます。
というふうに見ると、低投票率のなかでは組織票(≒特定利益団体の支持票)がより強く結果に反映され、おかしな情況になってしまいます。

国政選挙もだいたい同じようなもので、2009年に民主党が勝った衆議院選挙を除いては、戦後ずっと特定利益団体を利する自民党中心の政権だったわけです。
(自民党や公明党にどういう特定利益団体が絡んでいるかは推して知るべしですね)。
また、投票率が23%程度だった2014年3月23日の大阪市長選挙なんてもう問題外です。

ちなみに、
『若者は、選挙に行かないせいで、四〇〇〇万円も損してる!? 35歳くらいまでの政治リテラシー養成講座』(ディスカヴァー携書)
という本は、タイトルはなんですが特定利益団体や選挙、政治の事情をとても簡単に説明してあります。
まだ二十代の人たちは実情を知るために、私のような四十代以上の人たちには復習になるでしょう。

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はて・・・
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そんな選挙でも、結果的に真っ当な政策や人物が選ばれているならまだしも、必ずしもそうとは思えない情況です。
(2009年に民主党が勝ったときはチャンスだったと私は思うのですが、一年もたたないうちに潰してしまいましたね)。
この情況が嫌なら、やはり残りの60%の人々が動く(=投票する)しかないわけです。
繰り返しになりますが「政治なんかに期待するのは諦めて自分の生活だけでもなんとか・・・」という気持ちは解ります。
が、あまりに無関心でいるとみんなゾンビにされてしまいます。また、事情により自分の生活自体が困難で助けを必要とする人たちを助ける意味でも共闘(=投票)すべきだろうと思うのです。

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